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著者の人生からにじみ出るもの「崖っぷちに立つあなたへ」落合恵子 [若い人たちへ-YAブックス]

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「崖っぷちに立つあなたへ」 落合恵子 岩波ジュニア新書 2008年

作家であり、絵本専門店「クレヨンハウス」の主宰者でもある落合氏が
第二次世界大戦末期にシングルマザーの子として生まれ、
その人生をどのように歩いてきたか、
そしてその人生から得た何かで今、「爪楊枝一本ほどのちっぽけで細い支えのようなもの」
を心苦しく生きている誰かに差し出すことができるなら、という思いで書いたのが
この一冊である。

この作品では、シングルマザーという当時ならなおさら厳しい立場にあった
落合氏の母が、全力で娘を愛した軌跡と、その母を心の支えにして
生きてきた落合氏の様子がときに淡々と、ときに感情をこめて語られている。

いわゆるハウツーものではなく、処方箋的なものでもない。
彼女の生き方から、感じたものの中から、何かを今迷う人、苦しむ人に
伝えたい、という情熱が一文字ひと文字から感じられる。

最後には、最近の相談についても触れられている。

いつの時代にも、その時代のいじめがあり、差別があり、悩みがあり、
苦しさがある。
生きていることは苦しむことなのか?と思いそうなとき、
この一冊が、この先にきっと今は想像できない喜びや体験がまっている、と
励ましてくれる。

ジュニアだけでなく、大人も自分自身、そして若いひとたちのために
読んでみてほしい一冊である。

大人には、「自分が何ができるか、どんな支えになれるか」ということを
若い世代に向けて考える機会になるのだと思う。

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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。



崖っぷちに立つあなたへ (岩波ジュニア新書 592)

崖っぷちに立つあなたへ (岩波ジュニア新書 592)

  • 作者: 落合 恵子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/04
  • メディア: 新書



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青いフレークのような若い時 「プラネタリウム」梨屋アリエ [若い人たちへ-YAブックス]

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プラネタリウム」 梨屋アリエ 講談社 2004年

引き続き、梨屋氏の作品。

中学生が主人公の4つの短編から成る作品。
そして、そのどれもに「プラネタリウム」が登場する。
ちょっと不思議な世界なのだが、それが中学生という時代の
微妙な年齢をうまく表しているような気もする。

その世界に入っていくまで、特に最初の「あおぞらフレーク」という短編では
ここに登場する青いフレークが何を意味するのかよくわからないまま
物語が進んでいく感じだ。
やがてそれは言葉でもはっきりわかっていくのだが、もしかすると
同年代の若い人たちはすぐにピンとくるのかな、などと
想像してみたくなる。

そんな、微妙な不思議な世界である。

その不思議な部分は確かに何かを象徴しているのだが、
それにあまりとらわれずに感性で受け止めておいて、
実際に流れていく事柄に目を配ると、作者がこの年代には二層の精神構造があることを
描いているのかな?とも感じる。

妙に現実的な部分と、心の中での思いの世界。
まさに、そのはざまでうまく折り合えないことを、いくつかの「不思議」な現象で
表しているのではないか。

表紙もいかにも中学生の女子が好みそうな装丁である。
ちなみにブックデザインは藤田知子氏、挿画&イラストは牧野千穂氏である。
いまどきの若い女子には表紙やイラストが中身と同じくらいに
とてもとても重要であることをよくよくわかっての作品である。


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プラネタリウム

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何か懐かしい匂い 「夏の階段」 梨屋アリエ [若い人たちへ-YAブックス]

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「夏の階段」 梨屋アリエ ポプラ社 2008年

確かに、何故か夏の匂いがするような気がする。

5人の高校1年生の1人称の形で積み上げられていく5つの短編集だ。
この5人、県内ではそれなりに進学校の同じクラスにたまたま集まった5人で
それぞれ15年とちょっとの過去を持ち、それぞれの家庭環境と事情を抱えている。
その5人を外側からと、内側から見られるという趣向だ。

高校1年生がどんな季節だったかということは忘れてしまったような
忘れたいほど気恥ずかしいような微妙なところである。
クラブや文化祭での活動にも参加していたけれど、なんとなく斜に構えているような
微妙な時期だったと自分の過去をふと振り返ってみる。

今の高校生もそうなのかもしれない、と
この作品を読んでほっとし、共感もした。
オトナに見せたい、なりたいけれど追いつかない思い。
そのイライラと、自分と関わっている同級生や家族、知り合いとの関係。
それらのバランスが難しいのがこの時期なのかもしれない。

中学3年生から高校1年生というのは脱皮するかどうか、という
何かしかけがあるのかもしれない。
それを何事もなく気づかないで通り過ぎている場合もあるだろうし、
既にもっと前に子どもとは違う存在に
壁を乗り越え成長しているティーンもいるのだろう。
しかし多くはこの時期に、内側にも、外側にも
大きなエネルギーが向いていくように思う。

この作品はそんな時期を迎えた個性的な5人が1人称と外側からと
両方描かれる。それらをすべて読み終えたとき、一つの物語が完成し
それぞれの登場人物を理解できるという体裁になっていて面白い。

きっと読者も、この5人の中の誰かに自分の似ているところを
重ねて過去を振り返りしばし今の自分のことさえも考えるだろう。
まさにその年齢であればよりリアルにのめりこむかもしれない。

いい年の大人にはやや気恥ずかしいけれど、しばし忙しい歩みを止めて
過去から「今」を考えるいい機会になるかもしれない。

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夏の階段 (teens’ best selections 13)

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