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テンポのよい刑事モノ 「犯人に告ぐ」 雫井脩介 [ミステリーを楽しみたいときに]

犯人に告ぐ.jpg

「犯人に告ぐ」 雫井脩介  双葉社 2004年

幼児誘拐事件の現場指揮をして、最悪の結果となってしまった過去を持つ刑事。
たたき上げから警視になった彼はそれでもとばされた田舎の所轄で検挙率を挙げていた。

そんな彼がらちのあかない連続幼児殺人事件のため、「現場」に呼び戻される。
しかし、そこには「汚れ役」として捨て駒をもとめる上層部と
個人的な利益のために一部マスコミにリークする若い課長、
そしてうさんくさい目でしか彼を見ない捜査一課の面々が待ち構えていた・・・

久々に面白くテンポのよい刑事モノを読んだという気もするが
あえて劇場型の捜査方法をとるなど、やや実感のない展開もある。

しかし、一つの大きな取り返しのつかない失敗の背負った
一人狼の刑事が、少しづつ現場の刑事や鑑識の協力を得て
最後の最後に犯人をおいつめていくところはその場に自分もいるような気もする。

何度刑事モノを読んでも思うのだが、なんと腐りきった組織だろうかと
架空の世界だとは思ってもうなってしまう。
煙のないところには火はたたない。

命や刑事としての使命を本気で守ろうとすればするほど煙たがられる世界。
それは私達の命や安全を守る組織だからこそ、本当にこんなことがあるとは
信じたくないけれど、特殊な組織だからなお、隠された暗部があるのかもしれない。

あっという間に読ませる文体と構成もなかなかのものである。


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ホラー苦手な方はご注意を「禁断のパンダ」 拓未司 [ミステリーを楽しみたいときに]

禁断のパンダ.jpg
「禁断のパンダ」 拓未司 宝島社 2008年

第6回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。
著者は1973年生まれ、調理師学校を卒業後、飲食業に従事、
現在はアルバイトとのことである。(奥付より)


本作は、小さいけれど、人気のビストロをきりもりする若きシェフと身重の妻が
ある結婚式をきっかけにおどろしい事件に巻き込まれていくサスペンス。

・・・とはいいながら、多くの選者が評しているように、その大半は
主人公のシェフと、神戸一といわれるレストランで出される料理の味の
すばらしさ、そしてワインとの取り合わせ・・・など、グルメ表現の
豊かさで展開していく。

そんな中、主人公の妻の昔の友人が結婚式をあげることになり、
少々訳有のその式に夫婦で出席したときから、二人は知らず知らずに
身の毛もよだつような罪を犯すものたちに目をつけられていくのだ。

読後感としては、あまりいいものではない。
途中、グルメ的な展開部分は確かに楽しめるものだが、
想像していた以上にホラーな部分があり、最後はホラーに弱い私としては
うーん、と皆さんに薦めることをためらう部分もある。

しかし、タイトルにかかわる部分に関しては、著者の目のつけどころに
今後の期待感はあり、この部分をもっと深く掘り下げるべきだし、
あまり猟奇的な、あるいはオカルト的なものを追求するにはまだ
ひねりが足りない気もする。

次作、どうでるか、というところを見守りたいところである。

ちなみに、妊婦の方、ホラーや過激な表現をお望みでない方は
避けたほうが無難である。

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禁断のパンダ

禁断のパンダ

  • 作者: 拓未 司
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2008/01/11
  • メディア: ハードカバー



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中学生が急に医大生になる?「医学のたまご」 海堂尊 [ミステリーを楽しみたいときに]

医学のたまご.jpg
医学のたまご」 海堂尊 理論社 2008年

「チーム・バチスタの栄光」(2006・1)
ナイチンゲールの沈黙」(2006・10)
「螺鈿迷宮」(2006・11)
「ジェネラル・ルージュの凱旋」(2007・4)
「ブラックペアン1988」(2007・9)
「ジーン・ワルツ」(2008・3)
・・・と多作の海堂氏である。

しかも、病理学者という職を持ちながらの執筆はさらに続き、
「死因不明社会」のような現職からの訴えも
(主にAi=オートプシー・イメージング・死亡時画像病理診断)
著作していて話題になっている。

そんな中、「日経メディカル」に2007年2月から1年間連載されていた小説
単行本化されたのがこの「医学のたまご」である。
ヨシタケシンスケ氏のとぼけたイラストもあって、なんだか気楽に手に取れる
一冊なのだが、内容はなかなかのハード・ボイルドだ。
ただし、主人公は中学1年生なのだけれど・・・。

あるとき、実力ではなく「ある理由」から
文科省の行ったテストで全国一位になってしまった中学生がいた。
しかもその中学生は「あの」桜宮市立中学に通っていた。
そう、あの一連の作品の舞台となった東城大学付属医大のある桜宮である。
そして、彼は中学2年生の春から、なんと中学生でありながら、
医学部で研究をするはめになってしまうのだった。

そのドタバタの中で、医学部研究室や研究発表の内情、権力闘争、
友情、若者なりの仁義の切り方などなど、どう話が展開していくのか
最後ははらはら。

そんな笑ってしまうようなありえない設定とドタバタの中に、
人としての生き方とか、譲れないもの、医学とは何なのかということを
ふと考えさせられる場面が横切る。

そして、海堂ファンにたまらないのは、舞台が数年後の東城大学医学部なので
早々たるメンバーが時に立場を変えて登場するのである。
それは読んでみてのお楽しみだ。

どうもこの作品には続編の可能性もあるらしい。
それもまた、多作の作者ゆえの楽しみである。

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医学のたまご (ミステリーYA!) (ミステリーYA!)

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畠中氏新たなお江戸ミステリー 「つくもがみ貸します」 [ミステリーを楽しみたいときに]

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「つくもがみ貸します」 畠中恵 角川書店 2007年

しゃばけシリーズでおなじみの畠中氏の新短編集。
今度の舞台はお江戸の深川、古道具屋兼損料屋の出雲屋である。

損料屋とは?
火事が多くて物を持っていてもすぐ家事に巻き込まれて家財が焼けてしまうことも
多かった江戸時代に、布団から小道具、時には貴重な掛け軸まで貸し出して料金を
もらっていた商売をしている店である。
・・・というのは、この作品を読んで初めて知った。

出雲屋は血のつながりのない姉弟がきりもりしており、
弟の清次はなかなかの目ききであり、いい物を見出してはそれを手に入れ、
本当にいいものは手放さずに貸し出していた。

本当にいいもの・・・
そう、その時代の本当にいいものは、作られて100年も経つ、
というものも多く残されており、それらの長年大切に使われてきたものには
いつしか魂が宿り・・・
付喪神となるのである。

「しゃばけ」シリーズでも屏風などに取り付いた付喪神が登場するが、
そうした物の怪たちは長年多くのものを見聞きしてきていて、
なかなかに賢いものたちとして描かれている。

しかも出雲屋は損料屋だから貸し出されてあちこちのお屋敷や
料亭などに「出張」することもある。
そこで仕入れた情報を付喪神同士でおしゃべりしているのだ。

そうした古道具に長く付き合いのある姉弟には
どうも彼らのおしゃべりが聞こえるらしい・・・


*****

姉のお紅の恋、清次の複雑な心境、古道具を通しての不思議な事件、
そして付喪神たちのおしゃべりの中に見えてくる真実。

江戸物のミステリーの新境地である。

江戸時代好きにはたまらない細かい表現、庶民のくらしの様子も
読んでいて楽しい。
ひとつひとつの話は短編であるのも読みやすい。

「しゃばけ」にはまったあなたも、まだ畠中ワールド未体験のあなたも、
ぜひこの作品をどこかで目にしたら一度は手にしてみては?
この時代に生きながら、もうひとつの時代にタイムスリップしたような
豊かな気持ちにもなれるに違いない。

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つくもがみ貸します

つくもがみ貸します

  • 作者: 畠中 恵
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/09
  • メディア: 単行本



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鑑識視点の警察小説 「臨場」 横山秀夫 [ミステリーを楽しみたいときに]


「臨場」 横山秀夫 光文社文庫 2007年

警察小説、それも鑑識からの視点で事件を割り出していく物語の短編集である。
いずれの短編も、同じ県警の話であり、「終身検視官」といわれている
異例だが長年捜査一課調査官として鑑識の仕事を続けている倉石、という男が登場する。

一つひとつの短編、そして事件は、警察の中の人間や警察付きの記者たちに
何かの形で深く関わる形を取っている。

普段は事件を外側のこと、ととらえながら対象としている彼らにとって、
それが他人事でならないとき、彼らはどうするのか。
どう思うのか。

倉石の「臨場」=現場への出動、あるいは長年の経験による判断により、
事件は思わぬ一面を見せることになる。

私たちはこれらの短編により、警察やそれを追いかける記者たちが
決して一塊の組織ではなく、一人の人間であることにあらためて気づかされる。
彼らもそれぞれの過去を持ち、迷い、苦しみ、日々戦っている。
本人達でさえ忘れかけていたそんな事実を、事件が掘り起こしていく。

それぞれの短編は少しずつ繋がれている。
前に関係者だった記者や刑事たちも再度ふとした場面で現れる。

それにしても異彩を放つのは警視でありながら鑑識畑で事件の背景を
現場から見抜く鋭い目と頭脳を持つ倉石だ。
彼自身のことは多くは語られないが、事件の見立てが彼自身、
そして彼の人生を浮き彫りにしている。
その生き方に羨望を覚える読者も多いだろう。

女性に関する記述がやや女性読者にはどう受け取られるだろう?と
思う場面はある。
しかし、人間を描く、という観点からはやはり優れたところのある
作家だと思う。これからも補足していきたい。

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臨場 (光文社文庫 よ 14-1)

臨場 (光文社文庫 よ 14-1)

  • 作者: 横山 秀夫
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/09/06
  • メディア: 文庫


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やや春樹風? 「朝日のようにさわやかに」 恩田陸 [ミステリーを楽しみたいときに]


「朝日のようにさわやかに」 恩田陸 新潮社 2007年

様々なメディアに掲載してきたショートストーリー、しかもホラー系の短編集である。
この寒い季節よりも、夏の夜に読むのにむいているのかもしれない。

雰囲気がやや村上春樹氏風のものもあり、別に作者が意図したわけではないのだろうが・・・

中にはシリーズ化されている作品群のスピンアウトものもある。

ただ、児童文学として書いたという「おはなしのつづき」は
児童文学としてはちょっとどうだろうか・・・と考えてしまった。

もし、本当に作品と同じような状況の子どもやそんな友人がいる子どもが読んだら、
などと少し余計なことまで考えてしまった。

いずれにしろ、ある程度、そう、中学生くらいにはなってからのほうが
「物語」として受け止めてて頭で処理できそうだ。

おもしろかったのは「冷凍みかん」、「一千一秒殺人事件」。
これらは短編の良さを駆使している。

あとの作品は・・・まあ、夏の夜にちょっと涼しくなるのに役立つのかも
しれない。
冬に読むのなら、暖かい店でのちょっとしたティーブレイクにいいだろう。

作者自身、いろいろな媒体からのニーズに対して、様々な挑戦をしている。
そうした挑戦を読み比べてみるのもファンには楽しいひとときになるだろう。

短編の難しさ、奥深さを考えさせられた作品集でもあった。

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朝日のようにさわやかに

朝日のようにさわやかに

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 単行本


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さあ、戦いが始まる。 「楽園」 宮部みゆき [ミステリーを楽しみたいときに]


楽園」上下 宮部みゆき 文藝春秋 2007年

人は人を、どの時点で「信じる」のだろう。

タイトルとはかけ離れた東京の片隅で、また、新たな人と人との出会いが生まれる。
出会いとは、その相手をどこかで「信じる」ことに繋がっていくものだと思う。

一人は、一人息子を車に轢かれて失った中年女性。
一人は、昔、世間を揺るがした恐ろしい事件に関わったライターの女性。
そう、そのライターは『模倣犯』で事件に関わり、気がつかないうちに振り回された
ライターの前畑滋子である。

滋子は9年前の事件で人として、ライターとして、心に大きな錘を繋がれたままだった。
現実には彼女によって真実があからさまになったにもかかわらず。
あの事件はそれだけ根深い、恐ろしい事件だった。

そんな滋子に、あなたにこそお話したい、と息子を失った女性が相談してくる。
最近発覚した、娘殺しにつながる予知ともとれる絵を、息子の遺品として抱えながら。

今は亡き少年の予知能力とは本物なのか。
そして、滋子は9年前の事件を乗り越えることができるのか。

一人のライターの孤独な作業が始まる。
しかし、それはまたも深い闇の迷路へのスタートでもあった・・・。

                   *******

この小説が、あの『模倣犯』の続編であることに、まず驚く。
あの小説がかなりの大作であり、驚くべき展開と人間のこころの底にある悪意に
迫ったものであったと思い出す一方、いくばくかのしりきれとんぼのような物足りなさを
感じていた私にとって(あれだけの大作を書いた著者には申し訳ないが)
この『楽園』の前畑滋子というライターの行動こそが、その隙間を埋める必要不可欠な
パズルの残された数ピースであると期待をもって読み始めた。

それは、この2作の関係性がわかった時点で、天から降ってきたように強く共鳴してきた
インスピレーションでもある。

一度は人の悪意に振り回され、煮え湯を飲まされた人間が、
人として、ライターとして、一人の女性として、
もう一度自分の「おとしまえ」をつけるための戦いが始まる。

                      *******     

今回は、親子・きょうだいの関係を中心に、子供の心理が深く関わってくる。
そして、学校、教育に関わる場や、子供たちどうしの関係も絡んでくる。

最も大きいテーマは、
自分が一番愛されたい人にどう思われているか、ということのような気がする。
自分が人として、尊重されているかどうかということが、どんなに幼い存在であっても
いや、幼い時期だからこそ、どれだけ大切なものであるかということが、
この小説のキーになっている。

なぜ、人は家族の愛を失い、「やっかいもの」になってしまうのか。
そうさせるきっかけは何なのか。
本当の「やっかいもの」にさせないためには、周囲の人間は本当はどうしたらいいのか。
そして、「やっかいもの」に一度なってしまった人間は、
もうまっとうな人間にもどれないのか。

人は、結局自分が一番可愛いのだ、と言われることがある。
子供を愛するのは、それが自分のコピーであるからだ、と。
しかし、最後にはそうしたものをすべて越えた愛が、
少しずつでも人を思いやる心が、何かを救い、変えていくのだ・・・
と読後に思ったのは私の個人的な感想である。

「信じる」べき魂を見抜く力を身につけた前畑滋子の成長とともに、
このタイトル「楽園」の本当の意味を受け止められる自分に成長したいと願うものである。

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楽園 上 (1)

楽園 上 (1)


楽園 下

楽園 下

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/08
  • メディア: 単行本


模倣犯〈上〉

模倣犯〈上〉

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2001/03
  • メディア: 単行本


模倣犯〈下〉

模倣犯〈下〉

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2001/03
  • メディア: 単行本


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卓越企画!「マイ・ベスト・ミステリー1」 [ミステリーを楽しみたいときに]


「マイ・ベスト・ミステリー1」 日本推理作家協会編 文春文庫 2007年

これは複数の推理作家たちが、自分の気に入っている自作と、
いろんな意味で自分にとってターニングポイントとなった他作家の作品を併載し、
さらにそれぞれの作品についてコメントしている、という面白い企画の作品集である。

冒頭、編集している協会の理事長である逢坂剛氏が書いている。

「『これを読んでいなかったら、自分は作家になっていなかった』
 そんな作品を、だれしも心に秘めているのではないか。」

まさにそうした作品を、現在活躍している作家たちが惜しみなく表明している。
そこが面白い。

選ばれた作品と作家の自作を比べてみると、
自作と選作はどこか共通するところがあったり、
手法に通じるところがあったり、
または内容がまったく違っても、同じような読後感が残ったりする。

作家という職業は、大変なものだ、とまた違った見方をすれば感じる。

オリジナルを求められながら、膨大な、気の遠くなるような過去の作品たちを
相手に新たなものを生み出していくのだ。

その腹のくくり方も、また、それを超越する作風をつかんでいる作家の姿を
垣間見ることもできる。
そうした面でも楽しめる企画である。

ちなみに、シリーズ1巻目では、
阿刀田高と佐野洋が同じく結城昌治を選んでおり、
それも興味深い。
ほかに乃南アサ、宮部みゆきも登場している。

さらに、この企画シリーズは文庫で6巻目まで出版されている。
お好きな作家や気になる作家の「この一作」を読んでみるのは
楽しいものだ。

いずれも短編なので、通勤中の電車の中や、旅のお伴にどうであろう。
ただし、ややぞくっとするスリラー系のものが多いので弱い方はご注意を。

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マイ・ベスト・ミステリー 1 (1) (文春文庫 編 17-1)

マイ・ベスト・ミステリー 1 (1) (文春文庫 編 17-1)


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しゃばけシリーズ「ちんぷんかん」 [ミステリーを楽しみたいときに]

「ちんぷんかん」畠中恵 新潮社 2007年

「しゃばけシリーズ」ももう何巻目になったことか。
しかし、とうとう今回はあの若旦那、大火事に巻き込まれ
三途の川までやってきてしまう。
しかし、気がつくと袖から鳴家が顔をだしているではないか!
連れてきてしまったのである・・・
自分は寿命だとしても、鳴家まであの世に連れて行くのはかわいそう・・・。
そんな若旦那のなやめる賽の河原での出来事を描く『鬼と子鬼』。

ほか、タイトルをふくめ、全5作の時代物ファンタジーといえる短編
構成されている。

今回の作品は、若旦那が自分の寿命、死について考える内容が多い。
また、それに絡めて、結婚や自分のこれからを考える場面も・・・。
長く細く・・・といっても心配になるのがファンの心理である。

一方、若旦那のやさしさや、どうしようもないことがこの世にはあることも
しみじみと伝わってくる。
さらに、江戸には多かった火事の様子では、大棚が火事に備えて穴倉を掘って
そこに商売道具を埋めて焼けるのを避けたり、丈夫な土蔵を建てたり、という
工夫をしていた生活の知恵も描かれている。
さらに、火事があれば大工も材木屋も儲かり、あっという間にまた新しい街並みが
再建される、というたくましさも垣間見られる。

物の本や博物館で見かけていた江戸の知恵がこんなところで顔を出すとは・・・。

昨年、テレビドラマにもなった「しゃばけ」シリーズ。
さてさて、どこまでいくのやら。
妖の寿命から見れば一瞬のような人間の人生だが、だからこそきらりと光るのかもしれない。

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ちんぷんかん

ちんぷんかん


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密室は豪華客船 「リヴァイアサン号殺人事件」 ボリス・アクーニン [ミステリーを楽しみたいときに]


「リヴァイアサン号殺人事件」 ボリス・アクーニン 河野恭子訳
 岩波書店 2007年

19世紀末のパリで起きた凄惨な事件の謎を、豪華客船で旅をしながら
ロシア人外交官ファンドーリンが解いていく、という趣向である。
しかも、この旅の仲間にはその事件の犯人が乗り込んでいる・・・

パリ警察の警部がサロンに集めた「容疑者」たちはいずれも怪しい者たちばかり。
ファンドーリンも最初は怪しまれるのだが、その人並みはずれた観察力と知識で
やがて犯人を絞っていく。

容疑者の中には日本人もいて、著者が日本になみなみならぬ興味をもっていることが
わかる。なにしろこの時代の日本男児であるからして、怪しまれることこの上ないのだが・・・。

この密室ともいえる豪華客船での旅と社交の中での犯人さがし、
一件遅々として進まないような気もするのだが、
最後は一気にまくしたてて解決まで読者は引っ張られていく。

ファンドーリンは、優れた明晰な推理力をひけらかすこともなく、
どちらかといえば控えめで言葉すくななのだが・・・
だからこそ、最後の分析力と理論的な推理で真実を解明するときの
迫力を感じさせるのかもしれない。

船の中の推理モノはややもったいぶったところがあるのだが、
のんびり読むにはそれもまたいいのかもしれない、と考えさせられる。

ファンドリーンのシリーズはまだあるので、ぜひほかの作品も
読んでみたいものである。

追伸:
この作品は実は秋に読んだのですが、
その後最新の「このミス」で高位置にランキングされており
びっくりしたような、納得したような、不思議な気持ちになりました・・・。
お読みになったご来店のお客様、どう思われましたでしょうか?

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リヴァイアサン号殺人事件 (ファンドーリンの捜査ファイル)

リヴァイアサン号殺人事件 (ファンドーリンの捜査ファイル)


このミステリーがすごい! 2008年版

このミステリーがすごい! 2008年版

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2007/12/05
  • メディア: 単行本


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