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一人の職業を持つ女性として「不器用」野田聖子 [人生や物事について考えたいときに]

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「不器用」 野田聖子 朝日新聞社 2007年

言わずと知れた国会議員、野田聖子氏にインタビューしたものをまとめたものである。
『わたしは、生みたい』が2004年に出版されたときは、気になったものの、
新聞等でかなり話題になり、内容も報道されたのであえて読もうとはしなかった。

しかし、今回、タイトルの『不器用』という言葉を見て、もっと彼女の
人となりが総合的に語られるのだろうか、と読んでみることにした。

いろいろな意味で目立っていた彼女の議員生活については
ニュースで目にはしてきたものの、やはり夫婦別姓という持論、郵政民営化反対、
そして結婚した後には不妊治療にトライしている、ということが
とにかく別の女性議員とくっきりと彼女の違いを浮き立たせていた。

それが実際どのような考えのもとにあるのかは、
よくよく取材された新聞等を読まねば、
つい「若くして郵政大臣」とか、「そこまでして子供がほしいのか」
「子供がほしいのに、別姓にしてどうするのか」などと反論する向きもあったように思う。

この聞き書きをまとめた作品は、彼女が「野田」聖子になった経緯(彼女は祖父の養子)から、
学生時代、民間に就職してから県会議員、そして国会議員へ・・・と
順を追って語られていく。

郵政民営化反対の立場をとり、造反者として無所属として戦った選挙のこと、
その後の復党のことなど、政治活動についてももちろん書かれている。

しかし、その主たるところは、やはり事実婚の夫であった鶴保議員との生活、
そして不妊治療、続く失敗、流産、さらに夫との別れまで、率直に描かれている。

彼女は初めて国会議員になったときに「政治家になったからには総理大臣になりたい」
と言っていたことを今でも思い続けていると今の生活についての章でも述べている。
そんな率直さと同じように、議員同士の結婚生活と、不妊治療と、その結果を
淡々と語っているのだが、そのあまりに素直な言葉によくここまで書けるな、
と思わされる。

インタビューから構成されたことと、やはり政治家、公人として腹をくくっている
ということもあるだろう。
しかし、そもそもやはり隠し事の苦手な「不器用」な人なのかもしれない。

そして、せっかく卵子が着床したのに、ハードな仕事の予定が入っていて
家族がとめたのに出かけてしまう。
そして、それが原因かは不明だとは述べているが、結果流産してしまう。

このことをピークとして、不妊治療も、夫婦の関係も微妙にずれてくる。

この判断は、責任ある仕事をある程度の年齢まで積み上げてきた女性には
難しいところであったろう。

仕事が丁度忙しい時期で休めず、少し無理をした。
そして流産。それは自分がちょっと無理した結果ではないか?
あの時もし、仕事がいくら忙しい時期でももう少しのんびりして
仕事をスローペースにしていれば・・・?と。

性別によって、このあたりの気持ちを中心にこの本への感じ方は
かなり違うと思う。
最後に、夫であった鶴保氏が自分の立場から書いているコメントからも
そのことは伝わってくる。男性は、子供が生まれ出るまでは父性は
芽生えにくいものかもしれない。
ただ、それだけに、かえって冷静な眼でその頃の野田氏のことを
だれよりも近くで見ていた人として、正確に描写しているのは
この元夫のコメントなのかもしれない。

不妊治療の末の流産という出来事についての野田氏の気持ちは、
政治家としてというより、
一人の子供がほしい女性としての素直な気持ちが伝わってくる。
そして、夫との関係が変わっていくことも。

また、彼女が自分の「血」にこだわらず、養子制度なども視野にいれて
子供を育てたい、という気持ちがあることもこの本で初めて知った。

ワークライフバランスを考えて・・・と野田氏は二度語ってはいるが、
きっと彼女はこれからも政治家というサーキットを走り続けるのだろう。
いっそそれならば彼女の言葉どおり、
頂点にトライするところまで走りきってほしいと、
政治的な私の理念はさておき、思わせるものが読後に残った。

<Amazon.co.jp へのリンク>
※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。

不器用

不器用

  • 作者: 野田 聖子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2007/12/07
  • メディア: 単行本



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コメント 3

クレマチス

夫婦別姓、養子、不妊治療と、とても興味深い人生を送っている方なんですね。
野田聖子さんを中心に、政治ニュースを注意深く見てみようと思いました。
by クレマチス (2008-07-22 20:23) 

ニライカナイ店主

クレマチスさんへ>
毎度ご来店とコメントありがとうございます。
いわゆる大御所政治家の持論本とは全く違っており、
一人の職業を持つ女性のエッセイとして読むことができました。
政界の特殊性も感じましたが・・・。
by ニライカナイ店主 (2008-07-23 22:03) 

ひまわりマミー。

初めまして!読書記事から飛んできました♪
読書blogをやっている双子ママ看護師です。
私もこの本読みました。前作「私は、産みたい」を読んだ時も思ったのですが
現役の国会議員であり、国務大臣経験者でもある著者が流産確定した際、人目もはばからず大泣きした姿、嫉妬に苦しんだり、ご主人に対し素直になれなくて離婚に至ってしまったり。普通なら恰好悪く、隠しておきたい「素の自分」をさらしている勇気にまず感銘。そしてその素の姿、同じ女性としてすごく共感でき、人間的にすごく魅力感じました(*≧∀≦*)

そして巻末の鶴保議員の言い分。前著者出版時も
「オレの言い分は違う。いつか反論したい」と述べていたと
ニュース記事読んだ事ありましたが、夫/男性という
違う視点で描かれていたのも興味深かったです

今後ともよろしくお願いいたします <(_ _)>

Blog:
双子ママ看護師の図書館もうで。
http://himawarimamy2.blog23.fc2.com/blog-entry-430.html

by ひまわりマミー。 (2010-02-25 22:08) 

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