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本当は夏向き作家?「ぬるい眠り」江國香織 [人生や物事について考えたいときに]


「ぬるい眠り」 江國香織 新潮文庫 2007年

江國香織は夏に読むのにいい。

冬の最中にこんなことを書くのも何なのだけれど・・・。

昔は冬に合う、と思っていたのだけれど、
あまりに寒い冬に手にすると、さらに寒く感じるような感じがする。

今年の夏のように灼熱の日々に、夜遅い時間、とろりとした夜の中、
ゆるく冷房をかけながら眠る前に読むのに最適な作家ではないか、と私は思う。

・・・と書きながら真冬に紹介するのは、アイスクリームをコタツで温まりながら
食べる贅沢のような気持ちを味わいたいからかもしれない。

これは短編集であり、でもどこかでひとつの筋が通っているような気がする。
そう、丁度「きらきらひかる」の続編といえる「ケイトウの赤、やなぎの緑」を読むと
はっきりわかるのだが、この短編集に出てくる主人公の女性たちは皆、
「きらきらひかる」の主人公の一人、笑子の対岸にいるような女性たちのような気がする。

自由に恋愛を楽しみながら、自分を解放できない。
結婚していながら、彼がいながらも、自分を確かめるために他の男性と関係を持つ女。
ノミに刺されたことをきっかけに、簡単に男と別れてしまった女。
それにくらべたら、笑子は苦しみながらもなんと自分に自由に生きていたことか。
彼女たちが笑子に嫌悪感をいだくのは当然だ。
まさに、「ケイトウの・・・」の主人公は自分の身内の事情もあいまって
笑子を毛嫌いしている。

昔、「きらきらひかる」を読んだとき、私は「こんな関係が成立するのか?」とおどろいた。
もうずいぶん昔の話だ。
仮面夫婦と夫の若い青年である恋人の三人の日々。
でも、お互いに必要としあっていた。

それにくらべるとこの作品群の女性たちはどこか不満げで、不足げで、
足りないものをいつも探しているような気がする。
その足りないものよりも、大切な何かがすぐそばにあることを知らずに。

これが「きらきらひかる」からの十数年の世の中の女性の変わりようであり、
江國氏の描くものの変化なのか、とも思った。

いずれにしても、短編集であることもあり、読みやすい作品だ。
くどいようだが、夜、寝る前に読むためにあるような作品たちである。

寒い夜には、温めた部屋で、肌触りの良いブランケットにくるまれながら・・・

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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。

ぬるい眠り (新潮文庫 え 10-13)

ぬるい眠り (新潮文庫 え 10-13)

  • 作者: 江國 香織
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/02
  • メディア: 文庫


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コメント 1

ニライカナイ店主

はっこうさんへ>
ナイス&ご来店ありがとうございます。
江國氏の作品は浮遊感がありながら、時にどきっとするほど
現実をつきつけられることがあり、気になる作家の一人であります。
by ニライカナイ店主 (2008-02-15 08:06) 

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